愛を知る小鳥
それから潤は驚異的な回復を見せた。当初あと一週間は入院が必要だと言われていたが、それより三日早く退院する美羽に合わせるようにぐんぐん回復していった。これには医師も驚きを隠せなかった。あかねに至っては、「愛の力は偉大ですね!」なんて勝手に盛り上がる始末だ。
そうして美羽と潤は二人揃って退院する日を迎えた。
あの事件から十日が経っていた。


「潤さん、本当に大丈夫なんですか? 本当ならもう少し入院しておいたほうが良かったのに…。それに、週明けから仕事に復帰するなんて無茶しすぎです! お願いですからもっと体を大切にしてください」

久しぶりに帰ってきた部屋に入るなり、美羽の説教が止まらない。

「もう充分休んだよ。医者だって驚いてたじゃないか。こんなに休ませてもらったのはいつぶりだろうな。かえって前より元気なぐらいだ」

ハハッとおどけて言うが、美羽の表情は晴れない。

「でも…」

「美羽、本当に大丈夫だよ。仕事だって絶対に無理はしない。約束する。俺は無理だと判断すれば無茶はしない主義なんだ。だから信じろ。…それに」

「……」

それでもまだ浮かない様子の美羽をぎゅっと抱きしめ柔らかな髪に顔をうずめると、その香りを思いっきり吸い込んだ。

「こうやってお前と二人っきりでいられる。その方が絶対治りも早くなる。俺にとっては一番の薬なんだ」

「潤さん…」

不安が完全に消えたわけじゃない。それでもこうして腕の中に閉じ込められると、一気に心が穏やかになっていくのがわかる。世界で一番安らげる場所。
美羽は傷に触れないようにそっと背中に手を回した。


その夜、二人は久しぶりに寄り添い合って眠りについた。
< 224 / 328 >

この作品をシェア

pagetop