翼~開け放たれたドア~
「……いつでも連絡しろ。
なんかあったら…」

総長の掌にそれを乗せた春輝はそのまま踵を返すと、肩越しに幹部らの顔を見て、不敵に言った。

「俺が、助けてやるから」




小さいけれど逞しいその背中に、幹部たちは涙を流した。

「「「はい…っ」」」

総長の掌に収まっている小さな紙。

電話番号とメールアドレスが書かれたその紙はなぜか温かく感じた。

「絶対、また会うときまでに…変えてみせる…!」

総長が呟いた声は、月明かりに照らされた倉庫に響いて消えた。
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