翼~開け放たれたドア~
「空夜ずりぃよ!!!」

「うっせぇ」

飛鳥の抗議をバッサリ切り捨てる。

「空夜、空夜」

「あ?」

肩越しに俺を見上げる春輝を見たとたん、ドクンと心臓の音が高鳴った。

どーしちまったんだ?俺…。

そう思ったが気づかないふりして春輝を見る。

「あれ、あれ。頭やって」

頭?

「撫でてほしいっつーことか?」

「ん」

コクコクと頷く春輝の顔は、なんだか期待みたいなのがこもっていて、俺は頭をそっと撫でてやる。

すると、春輝は俺に寄りかかってきて、そのうえ俺の手にすり寄ってきた。

「これしてもらうの好き」

「は…?」

お前…、この間…

“私には“好き”が分からない”

そう言ってたじゃねぇか。
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