明日、嫁に行きます!
「……た、鷹城さんは、私がいないと……ダメに、なる?」
「ええ、貴女がいないと僕は何も出来ない。何も手につかなくなる。寧音がいないと僕はダメになるのです」
私がいないと何も出来ない、手につかない、しかも、ダメになるなんて。
いくらなんでもそれは大げさすぎるだろうと、私は笑いを堪えるのに必死だった。でも、そんなこと言う鷹城さんは、なんだかとても可愛い。ホント、鷹城さんってば見かけ倒しなダメ男。
とうとう私は、プッと吹き出してしまった。
「ふふっ、鷹城さん、なんでも完璧に出来そうに見えるけど、実際はホント、ダメダメなんだなあ。それに、社長なのに仕事ほっぽって家にまで来ちゃうし、やってることがうちの幼稚園児の弟よりも子供だし。私が……えーと、管理? してあげなくっちゃダメなのかなあ」
なんて、生意気なことを言ってしまう。私の顔がみるみる緩み、綻んでゆく。
鷹城さん、私の様子を観察するような目でじっと見てたんだけど、小さく頷いた後、満足げに口の端っこをふっとつり上げた。
「ええ。貴方が僕を管理して下さい。……一生」
私のうなじに顔を寄せた鷹城さんが、もの凄く小さな声で何かを呟いた。こそばくて声を立てて笑った私は、彼が何を言ったのか聞き取ることが出来なくて。
「え? 最後、なんて言ったの?」
聞こえなかったと彼を振り返ったら、無言で微苦笑を返されてしまう。そして、私の首筋に顔を埋めたまま、辛そうに顔を顰めた鷹城さんは、
「……寧音。もう少しだけ、このままで」
「あっ……」
私の首筋を彼の吐息と声で震わせながら、掠れた声でそう呟いた。