ヴァニタス
そ、そうなんですか…。

早い話が男として武藤さんのことを見ていなかった、と言うことですよね?

と言うかクロエさん、結婚していたんだ…。

「ああ、私の話をしても仕方がなかったわね」

そう言ったクロエさんに、
「いえ、とんでもないです…」

私は首を横に振って答えた。

「自分の意思で突っ走ろうとした私と違って、あなたはムトウのことを理解して、そのうえ彼を支えようとしている。

本当に私とは大違いだわ。

たとえムトウがあなたの命を助けなくても、あなたはきっと彼を理解して支えようとしていたと私は思うわ」

「それは、私もわからないです…」

首を横に振って答えた私に、
「あなただから、きっとそうよ」

クロエさんが言った。
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