ヴァニタス
武藤さんの言う通り、彼の家は本当にあの崖から目と鼻の先のところにあった。

白を基調とした木造の、テラスがある小さな家だった。

「ここにはずっと住んでいるんですか?」

家を観察するように見た後、武藤さんに聞いた。

「そうだな。

10年くらい前からずっと住んでるよ」

武藤さんは私の質問に答えた。

「えっ、10年前ですか?」

意外な答えに、私は驚いた。

ここに詳しいから、てっきり地元の人かと思ってた。

「見晴らしがいいから気に入って購入したんだ」

武藤さんはそう言った後、ガチャッとドアを開けた。
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