ヴァニタス
武藤さんの全てを受け入れて、私は改めて気づいた。

この人をこれ以上ないくらいに深く思っていることに、改めて気づかされた。

武藤さんが私に手を差し伸べてくれたように、私もこの人に手を差し伸べて一緒に生きて行きたい。

武藤さんが私を支えてくれたように、私もこの人を支えて生きて行きたい。

月明かりに照らされている彼の顔も、私と手を繋いでいる彼の手も、私を包んでいる彼のぬくもりも、全部好きだって言うことに改めて気づかされた。

武藤さんが好きだから、武藤さんを離したくない。

そう思いながら、私は彼の背中に回している両手を強くした。

それに答えるように武藤さんが私の背中に両手を回してきて、私を抱きしめた。

「――武藤、さん…」

武藤さんの名前を呼んだ私に、
「――果南…」

武藤さんが答えるように、私の名前を呼んだ。
< 237 / 350 >

この作品をシェア

pagetop