ヴァニタス
その地面に、悪魔は膝をついて崩れ落ちる。

「――ウソだろ…?

果南の好きな人は僕じゃないなんて、そんなのウソだろ…?

ウソだろ…?

間違ってるだろ…?」

悪魔はブツブツと呟きながら、両手で頭を抱えた。

「――うっ、ええっ…」

地面に顔をこすりつけるように、悪魔は嗚咽を漏らした。

「――ッ、うっ…!」

武藤さんが私の躰から手を離したと思ったら、両手で隠すように口を押さえた。

「武藤さん!」

私が名前を叫んだ瞬間、押さえている指の隙間から血がこぼれた。
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