ヴァニタス
「――お母、さん…」

私は涙のせいで震えている声で、お母さんを呼んだ。

「果南なのね!?

そうなのね!?

果南なのね!?」

何度も私の名前を叫んでいる母に、
「私だよ…。

果南だよ…。

果南だよ…」

私は泣きながら自分の名前を何度も言った。

「2年間も音信不通になってて、ごめんなさい…」

私は震えている手で10円玉を1枚入れた。

「いいのよ、果南が元気で無事ならそれでいいのよ」

電話越しだから顔は見えないけど、声の様子から母も泣いているんだと言うことがわかった。
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