ヴァニタス
「あなた、果南から電話です!」

母が言った。

すぐそばに父がいたのだろう。

「果南からか!?

代わってくれ!」

電話越しから聞こえた父の声に、私は泣き崩れた。

「果南!」

私の名前を呼んだ父の声に、
「お父さん、私です…。

果南です…」

私は泣きながら自分の名前を言った。

「2年間も連絡がなかったから心配したんだぞ!?

携帯電話にかけても解約されてたうえに、お前が住んでいたところを訪ねて行っても引っ越しをした後だった。

心配したんだぞ!?」

不謹慎だけど、父が私を怒鳴ってくれたことが嬉しくて仕方がなかった。
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