ヴァニタス
武藤さんの手には鉛筆とスケッチブックがあった。

「あの、もう横にならなくてもいいんですか?」

武藤さんに駆け寄った私に、
「傷口はだいぶふさがったから、もう動いてもいいって言われたんだ」
と、武藤さんが言った。

「歩くとまだ痛むけど、遅くても1週間くらいの辛抱だね」

武藤さんは笑いながら言った。

「それで、早速売店に行って鉛筆とスケッチブックを買ったんですか?」

そう聞いた私に、
「そろそろ絵を描かないと腕が鈍っちゃうと思ったから買ったんだ。

退院するまでのリハビリだね」

武藤さんは笑いながら答えた。

「何を描いていたんですか?」

私はいつものようにベッドの横のパイプ椅子に腰を下ろした。
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