ヴァニタス
両親も私と同じ、訳がわからないと言うように戸惑っている。

こんな武藤さんを見たのは、生まれて初めてだった。

「私が死ぬその時まで――いや、死んでも果南さんを大切にします。

果南さんを、ずっと愛し続けます。

どうか果南さんを私にください」

私は、泣きそうになっていた。

武藤さんが私を大切に思ってくれたことが嬉しかった。

私は涙をこらえながら、
「お父さん、お母さん…お願いします」

武藤さんの隣で、土下座をするように頭を下げた。

2年間も音信不通にして、痩せ細るほど心配をかけたヤツが何を言っているんだと言うのはわかっている。
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