ヴァニタス
スケッチブックに描いてあったその絵は、私の寝顔だった。

「果南ちゃんの顔があまりにもかわいかったから、つい…」

武藤さんは笑いながら言った。

「もう、今すぐ消してくださいな!」

そう言った私に、
「ヤだよ、せっかく上手に描けたのに」

武藤さんはスケッチブックを私から遠ざけた。

「武藤さん!」

「おわっ…!?」

気がついたら、武藤さんは私の下にいて、私を見あげていた。

床の冷たい感触が手のひらに伝わってくる。

「あー、思った以上にいい眺めだね」

下から私を見あげながら、武藤さんがそんなことを言った。
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