ヴァニタス
私は動けない足を無理やり動かして、悪魔の前から逃げようとした。

「待ってくれ!」

悪魔は私の腕をつかんできた。

「嫌ッ、離してッ!」

私は悪魔の腕を振り払おうとする。

「どうして僕から逃げようとするんだ!?

何で僕の話を聞いてくれないんだ!?」

悪魔の口調が強いものに変わって、私の躰の震えがより一層激しさを増した。

「話を聞いてくれたことなんてないじゃない!

そうやって話をしたら、すぐに暴力を振るうくせに!

すぐに暴力を振るう人なんかと話なんてしたくない!」

叫ぶように反論した私に、
「何だとー!?」

頬に衝撃が走った。
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