ヴァニタス
「ちゃんと、手当てはしたから大丈夫だよ。

でも、まだひどいようだったら一緒に病院へ行こう。

俺、果南ちゃんに付き添ってあげるから」

「あの…」

武藤さんの言葉をさえぎるように、私は言った。

「どうして、そこまでするんですか?」

そう聞いた私に、
「果南ちゃんの代わりに俺が買い物へ行っていたら、果南ちゃんは殴られなくて済んだ。

いや、俺がお腹が空いたなんてわがままを言わなかったら…」

「武藤さん」

これ以上、自分を責めて欲しくなかった。

「――私が…私が、悪いんです…。

武藤さんは、悪くありません…。

私が…私が死ななかったから…。

私が死ねば、悪魔は…」
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