夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「飽きたっていうと、少し違うような気もするけど、お互いに冷めちゃってるんだよね。つまりは。今は別れる理由がないから、惰性で付き合ってるって感じかな」
 「ふーん。いっそのこと、別れちゃえば?」
 「そうしたいんだけど、ね」
 リョウコさんは嘆息した。
 「何か理由(わけ)あり?」
 「まあ、ね」リョウコさんは梅酒をチビリ。「さっきヒロコが言ったように、付き合って半年もすると、彼のことも色々と解ってくる。勿論、良い所もあるけれど、嫌な所も当然見えてくる。それで、互いに冷めちゃったと思ったわたしは、少し軽めに『別れよっか』って言ってみたことがあるんだ」
 「それで、どうなったの?」
 「だんまり、よ。何だか不貞腐れちゃって、こっちの言うこと聞こえない振りすんの」
 「別れるのが嫌なのかな」
 「それは無いわ。だって、今はメールも電話も殆どしてないし、互いに友達と一緒に居る方を優先するもの」
 「何か妙だね。そんな形だけの関係でも、続けたいものかな」
 「そうみたい。彼、妙にプライドが高い所があって、ね」
 「プライド、ねえ」ヒロコは梅酒をゴクリ。「少し話が見えてきた。つまり、見栄っぱりな彼氏が別れてくれない、と」
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