夜明けのコーヒーには 早すぎる
 考えるまでもなく、ぼくは頷いた。
 頼もしい人だ。―ぼくは心の中でそう思いつつ、梅酒を呷った。

 数日後、ぼくはヒロコの部屋で、ヒロコと二人で呑んでいた。恐らく、週に三、四回のペースでヒロコと呑んでいたと記憶している。勿論、いつも二人きりという訳ではなかったが、毎日のように酒宴に誘うヒロコに付き合えるのは、ぼくだけだったようだ。一人よりも二人、しかし、一人でも呑む、というぼくとヒロコが、二人でよく呑むようになったのは必然だったのかも知れない。
 そんな事情もあり、ぼくとヒロコが二人で日本酒をチビチビやっていると、ヒロコの携帯電話が震えた。どうやら電話だったようで、ヒロコは携帯電話を耳に当てる。
 「どうしたの?」
 ヒロコは開口一番、携帯電話越しの相手に言った。どうやら、親しい友人か誰かのようだ。
 「えっ、今?カドちゃんと呑んでる」
 今の状況を説明してるようだが、相手の声は小さく聞こえるだけ。女性ではあるようだが、どうなるのだろうか。もう時間も遅いのに、今から合流するのだろうか。まあ、ぼくが心配しても詮なきこと。呑みながら、傍観者に徹するとしよう。
 ぼくは塩を一舐めしてから、日本酒を呷った。
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