夜明けのコーヒーには
早すぎる
ぼくはこっそりともう一つお猪口を出して日本酒を注ぐと、リョウコさんの話に耳を傾けた。
「昨日―と言っても、もう一昨日か―に、久し振りにあいつから電話があったのよ」
「あいつっていうと、例の別れるだろう彼氏?」
「そう。その野郎よ」
リョウコさんは憤懣(ふんまん)やるかたないご様子。どうやら、堪忍袋の緒(お)が完全に切れているみたい。ヒロコもそれを察し、頷いて先を促した。
「でね。久し振りに電話がきたから、何だろうと思って、取り敢えず出てみたのよ。そしたら、明日の夜に友達と呑むから、来てくれないってきたもんだから、思わず『はっ?』って大声出しちゃったのよ。わたし。街中でよ。恥ずかしいったらありゃしない。その怒りもあって、『いやっ』って断ってやったのよ。そしたら、男二人じゃ寂しいだの後生だのしつこく誘ってくるから、不承不承(ふしょうぶしょう)ながらも、行ってやることにしたのよ。それなのに、あの糞野郎ときたら―」
リョウコさんは日本酒を呷って、喉を潤した。
「ふむ。そんなに怒るなんて、一体何があったの?」
「何があったも何も、あの糞馬鹿、途中でどっか行っちゃったのよ!」
「へっ?どういうこと?」
「昨日―と言っても、もう一昨日か―に、久し振りにあいつから電話があったのよ」
「あいつっていうと、例の別れるだろう彼氏?」
「そう。その野郎よ」
リョウコさんは憤懣(ふんまん)やるかたないご様子。どうやら、堪忍袋の緒(お)が完全に切れているみたい。ヒロコもそれを察し、頷いて先を促した。
「でね。久し振りに電話がきたから、何だろうと思って、取り敢えず出てみたのよ。そしたら、明日の夜に友達と呑むから、来てくれないってきたもんだから、思わず『はっ?』って大声出しちゃったのよ。わたし。街中でよ。恥ずかしいったらありゃしない。その怒りもあって、『いやっ』って断ってやったのよ。そしたら、男二人じゃ寂しいだの後生だのしつこく誘ってくるから、不承不承(ふしょうぶしょう)ながらも、行ってやることにしたのよ。それなのに、あの糞野郎ときたら―」
リョウコさんは日本酒を呷って、喉を潤した。
「ふむ。そんなに怒るなんて、一体何があったの?」
「何があったも何も、あの糞馬鹿、途中でどっか行っちゃったのよ!」
「へっ?どういうこと?」