夜明けのコーヒーには
早すぎる
「そうなんだ」ヒロコの顔が、少し弛(ゆる)む。「まっ、取り敢えず上がってあがって」
「はい。お邪魔しますね」
ヒロコの部屋は、いつも通りに簡素だったが、心なしか少し散らかっているように感じられた。
「まっ、いつもの如く、楽にしてくんなまし」
「ええ。ところで、今夜一杯どうですか?久し振りに」
「うん」ヒロコはぼくを見つめて、「勿論」破顔一笑した。
「では、ぼくは肴(さかな)を用意します。台所を借りますよ」
「どうぞどうぞ。わたしは、少し部屋を片すよ」
ぼくが調理をしている間、ヒロコはてきぱきと動く。窓を開けて換気をし、炬燵机の上を片付けると、座布団を二枚敷いた。それから、寝室に飛び込むと、大量の洗濯物を抱えて洗面所に滑り込み、洗濯物を洗濯機に放り込んだ。―ようだ。こちらからは見えないが、そんな音がした。
その様子を横眼で見ながら、ぼくは黙々と調理をする。冷凍餃子を蒸している間に、材料を切り分け、葱(ねぎ)と韮(にら)を醤油と味醂で漬ける。この時、醤油を多目に入れると美味い。豆腐を切り分け、キムチを乗せて胡麻油を掛ければ、少し変わった冷や奴。砂肝と韮(にら)の相性は最高で、塩胡椒で炒めるだけで十分美味い。
「はい。お邪魔しますね」
ヒロコの部屋は、いつも通りに簡素だったが、心なしか少し散らかっているように感じられた。
「まっ、いつもの如く、楽にしてくんなまし」
「ええ。ところで、今夜一杯どうですか?久し振りに」
「うん」ヒロコはぼくを見つめて、「勿論」破顔一笑した。
「では、ぼくは肴(さかな)を用意します。台所を借りますよ」
「どうぞどうぞ。わたしは、少し部屋を片すよ」
ぼくが調理をしている間、ヒロコはてきぱきと動く。窓を開けて換気をし、炬燵机の上を片付けると、座布団を二枚敷いた。それから、寝室に飛び込むと、大量の洗濯物を抱えて洗面所に滑り込み、洗濯物を洗濯機に放り込んだ。―ようだ。こちらからは見えないが、そんな音がした。
その様子を横眼で見ながら、ぼくは黙々と調理をする。冷凍餃子を蒸している間に、材料を切り分け、葱(ねぎ)と韮(にら)を醤油と味醂で漬ける。この時、醤油を多目に入れると美味い。豆腐を切り分け、キムチを乗せて胡麻油を掛ければ、少し変わった冷や奴。砂肝と韮(にら)の相性は最高で、塩胡椒で炒めるだけで十分美味い。