夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「いいえ」ヒロコは微笑む。「それで、返事は?」
 今度は、ぼくが腕を組み、眼を閉じて考え込む。
 ヒロコとユリさんとの問題に、第三者であるぼくが関わってもいいものだろうか?ことはデリケートな問題だ。しかし、だからこそ第三者が間に入ることによって、当事者達が冷静になれるということもある。相談を受け、答えを誘導した責任を果たすべきかも、な。
 ぼくはそう結論付けると、「わかりました。お付き合いしましょう」と言って、ヒロコを見つめた。

 翌日、ぼくはヒロコの部屋へ来ていた。
 というより、いつもの流れでヒロコの部屋で呑んだくれて、目を覚ましたと説明した方が真実に近い。
 起きると、既に昼をとっくに過ぎていた。ぼくの横では、ヒロコがうつ伏せになって眠っている。
 ぼくは大きい欠伸を一つすると、シャワーを浴びて眠気を飛ばした。
 勝手知ったる人の家。
 ぼくは、冷蔵庫からフルーツオレを取り出して飲み干す。
 ついでに、冷凍庫からバニラアイスを取り出し、カルーアを掛けて食べた。
 もそもそっと、ヒロコの動く気配がした。見ると、目尻を擦りながら、ヒロコが起きるところだ。
 「おはようございます」
 ぼくは言った。
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