あたし、猫かぶってます。


 「マッキーさんと千佳さん、確かに名字は同じだけど、全く似てないですね。」

 そう言いながら勉強道具を取り出す、あたし。



 「あぁ、だって遼くん、麻紘の兄貴だし。」


 「っえぇ!?」

 早瀬の言葉に驚きながら、マッキーさんを凝視する。


 「俺と千佳は血は繋がってないし、麻紘が転校した理由も離婚したとき母さんの方についていったからだよ。」

 ーーーつまり、

 マッキーさんと麻紘は兄弟で、千佳さんはマッキーさんとは本当の兄妹じゃないってこと?


 「…いいんですか、そんなことペラペラ話して。」

 会ったばかりの人にあたしが本性をさらけ出しているようなものだ。


 「いいよ別に、千佳も麻紘も、俺の家族だし。」

 笑顔でそう言うマッキーさん。ちょっと、いや、かなりかっこよかったりする。


 「ーーー遼くん、喋りすぎ。勉強するよ。」

 あたしがマッキーさんを見てかっこいいとか思っているのに気付いたのか、そう言いながら勉強道具を取り出す早瀬。


 「朔ー妬くなよ。」


 「別に妬いてねーし。結衣は俺のだ。」


 「違います。」

 マッキーさんとじゃれあう早瀬は、いつもみたいな王様じゃない、普通の男子高生で。なんか、新鮮だった。


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