あたし、猫かぶってます。


 「結衣ちゃん、頭良いんだね。」


 「一回も俺に勝ったことないけどな。」


 「早瀬、黙って。」

 勉強会なう。最初はマッキーさんにもふわふわした雰囲気で話しかけていたけど、早瀬と居るせいか口が悪くなってしまってーー諦めた。


 「マッキーさん、ここの公式ってこれですか?」

 次こそは絶対早瀬に勝つ。あたしは教科書を指差してマッキーさんを見る。


 「あぁ、ここはーーー「ここはコレだって。」

 マッキーさんの返答を遮って、出てきた早瀬。もちろんあたしは早瀬に聞いたつもりは無い。


 「早瀬は、あっち行ってて!あたしはマッキーさんに聞いてるの!」


 「こんな簡単な問題いちいち聞くなよ!てか、遼くんと結衣、近いんだけど!!」


 「俺は結菜が居るから警戒しなくても大丈夫だって。(…朔も若いなぁ。)」

 意味わかんない早瀬。どうせテストであたしが一位取るのが怖いんだ。そうに決まってる!


 「負けないから!!」


 「そういう意味じゃねぇし!!!」

 こんな感じで、さらに一時間半くらいマッキーさん、早瀬、あたしで勉強した。やっぱり早瀬は頭が良かった。悔しいけど。


 帰りはイケメンマッキーさんに送ってもらった。ずっと早瀬の愚痴を言っていたけど、何故かマッキーさんは嬉しそうだった。

 まあ、それなりに楽しかったけどね。



 そしてなにより、今日一番の収穫は、

 『俺、古文好きじゃない。』

 どうやら早瀬は、古文が苦手らしい。

 あたしは家に帰って、シャワーを浴びてから夜中の2時近くまで古文をやった。受験生かって言いたくなるくらい勉強したよね。

 文字書きすぎて、手が痛いんだけど。

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