ROMANTICA~ロマンチカ~
「私だってこの歳になれば、VIP会員の皆さんが君の演技だけを目当てに来ることくらいわかっているさ」



氷室涼輔は肩をすくめ、


「それでは、私はこれで失礼致します」

 
控え室を後にした。

 

「人寄せパンダ、か……」

 

扉を閉め、無表情に小さくつぶやいた声。


西九条会長の耳に入ることはなかった。
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