ROMANTICA~ロマンチカ~
 トゥルルル……。


 
胸ポケットの携帯電話が鳴った。


 
「私だ。原島か。葬式? 

誰の葬式でも構わん、花輪を贈っておけ。婚約者?」



眉をひそめる。



「聞いていないぞ。いい加減な父親だな、まったく。断れ。いや、待て」

 

一瞬思案顔になる。



「その話、受けることにしよう。虫除けにはちょうどよいだろう。家に呼び寄せろ。

いや、予定通り、これから空港に向かう。後は任せた」

 

相手の話をさえぎり、電源をオフにする。
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