ROMANTICA~ロマンチカ~
涼輔が廊下を歩き、ロビーに差しかかった時、

 

「うわーん……ママァ……」


 
泣き声が響いた。


 
男の子だ。

ロビーの床に寝そべり、泣きじゃくっている。

三歳か、四歳くらいだろうか。


そばに親はいないようだ。



――迷子か……。


 
ロビーにいる大人は、涼輔だけのようだ。

来た時にはいた受付嬢も席を外している。



――面倒なことになった


眉をしかめた。
 


床にへたりこんだまま泣きつづける子供。

無様な様子に嫌悪感を覚えながらも、見て見ぬフリして立ち去るのも気が引ける。



――手くらい貸してやっても良いだろう、後は適当に誰かに押し付けてしまえ。



近づこうと涼輔が一歩踏み出した時、
 


「ユータ、ユーちゃん!」
 


背後から女の声。
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