ROMANTICA~ロマンチカ~

3.探偵と警察署長

「いやぁ、恐縮です。お菓子までいただいてしまって」


 
柳屋光が、「とらや」のようかんを頬張りながら、まるで恐縮していない顔で言った。


 
柳屋が要求したのは、一ヶ月前に起こった自動車事故の資料だった。


ドライバーはほとんど即死だった。

が、別の車を巻き添えにすることもなかった。


そのため、ドライバーのスピードを出し過ぎと運転ミスによる単純な交通事故として処理されただけだった。
 



「あのー、ヤナギヤ君、そんな事故のことを蒸し返してどうするつもりだい?」



 
内心では煮えくり返るものを感じながらも、高嶺は顔に引きつった笑みを浮かべて探偵に問うた。
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