ROMANTICA~ロマンチカ~
八歳のあたし。

学校の友達と同じように、みんなと同じように、あたしだってテレビをたくさん見たい、勉強なんてしたくないと言っている。
 

「バカ言ってんじゃないわよ! 人は人、自分は自分でしょ? お友達が死んだら、あんたも死ぬの?」
 

「死なないけど……」
 
「けど何よ? え? ぐずぐず言ってる暇があったら、計算問題の一題、漢字の一つも覚えなさいよ。都季、あんたは女なんだから。手に職を付けなきゃ。手に職のない女は大変なんだよ。普通に結婚することは、そりゃ悪くはないよ。だけど、旦那に死なれてごらん、下手すりゃ路頭に迷うよ」
 

路頭に迷うっていうのが、どういう意味かわからなかったけど、路頭に迷うのは何だか大変そうで嫌だった。
あたしは、机に向かった。
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