ROMANTICA~ロマンチカ~
ジャー。玉ネギを炒めるいい匂い。

今夜はシチュー。

ママが大好きなシチュー。

おばあちゃんは、あたしが中学に上がると同時に亡くなった。

おじいちゃんもとうに亡くなっていたから、ママとあたしの二人暮し。

仕事で疲れて帰ってくるママのために、夕食を作るのがあたしの仕事。
 
「都季、トマトを煮込む時は、隠し味にお砂糖を入れるといいわよ。そうすると、もっと味が丸くなる」
 
「わかった。今度からそうする」
 
「美味しい」
 
ママがニッコリした。 
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