ROMANTICA~ロマンチカ~
雨戸を閉め切った暗い部屋の中、あたしはベッドの上で身じろぎもしない。

ずっとかけっぱなしのエアコンが、ブンブン唸ってる。
 
高梨君に恋人ができたと、そう本人から報告があってから、どれほど時間が経ったのだろう。
 
あの後、家に帰ってきたら、模試の結果が返ってきていた。

志望校全てにE判定。「志望校変更を勧める」の文字が、目に焼き付いて離れない。
 
夜を待って、女友達に電話をかけた。

何があったか詳しく話して、自分をおとしめるつもりはなかったけれど、それとなく傷ついていることを知ってもらって、彼女からなぐさめてもらいたかったから。

彼女はロスト・ヴァージンしたばっかりで、ものすごく興奮していた。

「良かったね」と言って、電話を切った。
 
あたしだけ、バスに乗り遅れたような気分。

みんな、青春してる。恋をしてる。
 
あたしは、青春していない。

志望大学にも入れそうにない。

欲しいものは何一つ手に入らず、暗い部屋の中で、一人で腐ってる。
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