ROMANTICA~ロマンチカ~
「助かったよ。何の真似だ?」
 
涼輔さんに背を向けて、屈んだヤナギヤさんは言った。
 
「おんぶだよ、お・ん・ぶ。

あなたみたいな大男をかついで歩けそうなヤツは、この場に俺しかいないみたいだから」
 
「なッ! だ、ダメだ! 

そんな、子供じゃあるまいし!」
 
涼輔さんの頬が赤く染まった。
 

「それに、君に大男呼ばわりされたくない!」
 
「そこまで恥ずかしがることかねぇ……?」
 
ヤナギヤさんに同感。

涼輔さんってば、子供の頃にとっても厳しくしつけられたのが、しみついているのかしら。
 
「とにかく、自分で歩く! ツゥッ!」
 
立ち上がろうとするが、無理みたいだ。

結局、ヤナギヤさんとあたしに両脇から支えられ、涼輔さんはその場を後にした。
< 252 / 369 >

この作品をシェア

pagetop