ROMANTICA~ロマンチカ~
涼輔さんの靴を脱がせ、腫れ上がった足を見ても、「病院へ」と言っただけだった。
 
「ごめんなさい、涼輔さん……。

あたしが、あそこで暴れたから……。

あんなことしなくても、大人しくしていたら、すぐに助けが来たのに……。

足も、酷い怪我……」
 

涼輔さんの手にハンカチを巻きながらも、涙が止まらなかった。

手は傷だらけで血が滲んでいたし、足は真っ赤に腫れ上がり、ところどころ紫色になっていた。
 
もしかしたら、骨折してるかも。

「都季のせいなんかじゃないよ。

何ともない、ただの切り傷と打ち身だ。

……探偵屋が言うように、都季には、話しておかないといけないな」
 
氷室家かかりつけの武藤病院へ向かう途中で、涼輔さんが話してくれた。 
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