ROMANTICA~ロマンチカ~
「へえ、あの『氷室物産』のねぇ……」
 


探偵のヤナギヤさんは、シュウちゃんを一人騒ぐだけ騒がせておいて、何やら思案している様子だった。



下手したら高校生じゃないかっていうような童顔なのに、アゴに手を添えて考え事をする時の彼の顔は、ちょっとオトナな感じ。


 
やがて、探偵さんはやわらかな笑みをその顔に浮かべていった。


 
「都季ちゃん。君は、ひとまず氷室さんの家へ戻った方がいいよ」



ガアーン……!


 
ショックだったけれど、予想できない答えでもなかった。


あたしは頭の中で三つ数えて深呼吸して言った。
 


「どうして? それは、相手が地位があってお金持ちだから?」
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