ROMANTICA~ロマンチカ~
第二章 トキメキ

1.連れ戻されて

「何をしていた、運転手をまいて」


黒塗りの車に乗せられてから五分くらい経っただろうか。


氷室涼輔が、沈黙を破った。
 


「一人になって、この先の身の振り方などを考えようと思っていました」
 


あたしは答えた。
 

あたしは、「作戦その2:連れ戻されたら追い出されろ作戦」を決行中だった。
 


「よいアイディアは浮かんだか?」
 


「ええ。一人で生きて行くにはお金が必要だと思いましたので、とりあえずパンツ売りました」
 


実際は失敗したのだけど、人生には多少のスパイスが必要であるように、会話に多少の脚色は必要だ。
 
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