ROMANTICA~ロマンチカ~
冷たい美貌を白の胴着が包み込んでいる。

腰には漆黒の帯。
 


会長の攻撃を巧みにかわしながら、



突き、
蹴り、
当て、
打ち、



はたまた“投げから決め”といった一連の技が流れるようにくり出される。

 

一つ一つの技のキレ、素早さ、正確さ。



誰もが思わずみとれてしまう。



青年の冷然とした美貌



には、汗一つ浮かんでいない。



青年が会長の顎の前で上段まわし蹴りを「寸止め」して演武は終了。



二人の礼と共に会場には割れんばかりの拍手が鳴り響く。
 


「ああ、なんと凛々しい……」
 
「素敵……」

「あんな風になれたら……」

「ああ、せめて、お近づきになれたら……」

「氷室涼輔様……」
 


人々の注目の的は、氷室涼輔(ひむろ・りょうすけ)。
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