キケンなアイツとの生活
きっと三人は、何度も会ってるから、こうやってポンポン会話ができるんだろうけど、わたしは〝はじめまして〟だから中になんか入っていけない。


多分今のわたしは、まったく笑えていない。


わたしが、えらい…?


そんなわけない。


ママがいないから、やってるだけ。


ママがいた時は、なにひとつしない娘だったんだから。


ねぇ、ママ…。


ママに会いたいよ…。


「愛梨…?」
「……ごめん、パパ」


ママのこと考えてたら急に泣きそうになって、スッと席を立った。


「お手洗い、行っていい…?」
「あ、あぁ。いいよ。場所は、わかるかい?」
「うん、大丈夫。森永さん、ごめんなさい…」


なんとなく視線を感じて、二人にも頭を下げた。


「ううん、いいのよ?行ってらっしゃい」


千夏さんは、悲しそうな顔をしながらもニコリと笑って、そう言ってくれた。


だけどやっぱり、わたしは笑えなくて静かに部屋の外へと出た。
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