俺と後輩と怪談と。
「そんな顔しないでください。」
それは、俺の台詞だ。
「なぁ、俺にも出来るかな?」
「なにがです?」
「その……お前を成仏させたり、とか。」
後輩は瞠目した。
そしてふわっと笑った。
「出来ますよ。簡単です。先輩が俺を想ってくれるなら。」
「……楽しかった。楠木に会えて良かった。本当にそう思ってる。」
「ありがとうございます。」
「だから、もう頑張んなくていいんだ。」
そうだ。
コイツはいつも笑ってた。
「――好きなだけ泣けばいい。」
すうっと楠木の身体が透け始めた。
「ありがとうございます。気付いてくれて。」
やがてその姿は、呆気なく消えた。
まるで何もなかったかのように、簡単に消えていった。
俺は夢でも見ていたんじゃないかと思えるほどに。
でも覚えている。
消える直前の、彼の泣き笑いを。