キスから始まるセカンドラブ
今、見たいのは彼の姿じゃない。会いたいのも声が聞きたいのも智人さんだけ。「泣くなよ」なんて智人さんが言わないセリフを吐いて後ろから抱きしめたりしないで。

「言ったでしょ何度も何度も。私に触らないでって。離してください」


本当、私さっきからこの人に何度捕まるんだろう。隙がありすぎなの?でも、たとえ隙があっても智人さん以外の人となんて絶対に嫌。また身をよじって細やかな抵抗をしてみせるけれどそれは返って逆効果で力強く抱きしめられる。お願い、離して。



「・・・兄貴、必ず帰ってくるから。だから泣くなよ」



「・・・嘘つき」

「えっ?」

「嘘つきだって言ったんです。あなたのこともまだ信じられない。だけど何度も何度も電話してるのに一度も出てくれないなんておかしい。絶対に見てるはずなのに掛けてもきてくれないなんて」

智人さんが電話をくれないことが辛すぎて感情的な言葉をぶつける。だって本当に分からない。ここでこの人のことを智人さんが否定してくれれば一番理解できるのに、その智人さんが携帯に出てくれないから。

「ねぇ、あなた弟さんなら電話掛けてくれませんか?そしたら信じますから」

「・・・掛けねえよ」
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