チャット恋愛注意報!!(旧)
フジヤマ>で、結局どうなんだよ?
フジヤマのその言葉で、一瞬だけ会話が止まる。
フジヤマ>ユージとYUKI、サクラのこと好きなんだろ?
ユージ>イエス
YUKI>フォーリンラブ
ユージ>ww
フジヤマ>芸人かww
YUKI>www
……みんな笑ってる。 いつもの私なら、みんなと笑い合っているんだけど……。
「……」
……私は、やっぱり何も言えなかった。
上手い返しが思いつかなくて、頭の中ではずっと『好き』って言葉が回ってる。
……私、ユージのこともYUKIのことも、もちろんフジヤマのことも、好き。
でもそれは、友達っていうか……みんな、大切な人だから……。
……ユージのことカッコイイって思うし、仲良くなれたことも嬉しい。
YUKIも、クールだけど優しくて素敵な人だと思う。
フジヤマだって、面白くてとってもいい人だし……。
私は、みんなのことが好き。
でもそれって、友達としてのもので……みんなの気持ちも、そういうものなんだって、思ってて……。
ーー『別にさ、地味とか人見知りとか気にすることないよ? だって俺は、全部ひっくるめてサクラが好きだから』
……ユージのあの言葉って、友達として以上のもの?
あのあとに頬を赤らめて私を見て微笑んだのも、そういう意味があったから……?
なのに私、そんなこと、全然……。
ーー『俺はチャット以上の関係になりたいって思ってるけどね』
……YUKIの言葉も、本気だった……?
『なんでもない』って言ってたけど、でも、本当は……。
フジヤマ>おーい、サクラ? 落ちちゃった?
画面上にフジヤマの言葉が映し出される。
ユージも『大丈夫?』って心配してくれてるし、YUKIも『平気?』って声をかけてくれている。
……みんな、ごめん。
私、何も返せない。 みんなの言葉、これ以上見てるのがツラい……。
「……ごめん」
私は、『高校生ルーム8』から落ちた。
みんなには気付かれないように、窓落ちした。
……リアルの私が居ない『高校生ルーム8』だったからこそ、私は笑っていられたんだと思う。
リアルの話は……『好き』とかそういう話は、出来ないよ……。