Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
慌てて悠里を止めようとしたけども、今一歩遅かった。
スピーカーにしている携帯から呼び出し音が途絶えおっそろしく不機嫌な低い声が聞こえてきた。
『………寝入り端に何の用だ。下らない愚痴なら怒るぞ。』
須藤くん。
悠里と違った深い渋みのある声音は相変わらずステキ(いつも以上に低いですけど)
怯える私を余所に悠里は臆した様子もなく携帯に言う。
「久寿軒さんの事、ちゃんと美久に説明してくれない?あの人今日美久の所に来て迷惑掛けたらしいんだよ。」
『知るか、そんな事。オマエが説明すりゃいいだろうが。』
「あの人に関しては君だって無関係じゃないでしょ。」
電話先で「ちっ」と舌打ちの音が聞こえて『そこにいるのか柏木姉。』と呼びかけられて飛び跳ねる。
「は、はい。」
『久寿軒マエリ26歳。久寿軒製薬はウチの会社のお得意様で、御令嬢は営業として中々の才覚を発揮しているが今回は我が社にフィギア制作を依頼してきた担当だ。』
「…はぁ。」
えーと、それだけ?
私の戸惑いを察したように須藤くんが続ける。
『確かに御令嬢は柏木弟にゾッコンらしいがな。………ソイツがけんもほろろに突っぱねたもんだから、お嬢様は意地なのかムキになってるのか試作工程が終わってようやく量産に入ろうって仕事に難癖付けて現在試作工程に逆戻りだ。』
声を荒げる訳でもないけど静かに静かに怒っているらしい須藤くんに隣の悠里も顔を顰める。