君想歌

手を振って居場所を教える綾に
女性は土手を下りてくる。


はっきりと顔が見える位置に
下りてきた人物と顔が合うと
ほぼ同時に声を上げた。


｢和泉!!｣

名を呼んで抱き付いてきた
明里を受け止める。

島原の天神である明里につく
綾は遊女見習いらしい。

｢会いたかったんよ!!
もう来てくれへんと思うた｣


｢知り合い？｣


和泉の手を握りながら目を
丸くしている綾に頷いた。

親代わりの明里からは
聞いた事も無い繋がり。


久方ぶりに会えた友人に
明里は満面の笑みを浮かべる。

｢時間ある？
話したいことあるんよ｣


断れない雰囲気を出す
明里の催促に和泉は頷いた。


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