君想歌
「別にミツさんが気にする事じゃ
ないですよ」


素っ気なく答えてから
和泉は気まずそうに唇を噛んだ。


つい口をついてしまった言葉は
相手を配慮したものとは程遠く。


ミツがどれだけ心配しているか
伝わってくるというのに。


こんな態度を取った自分が
嫌になり俯く。


「そうね、なら良いわ。
沢山悩む事も大切だから。
今までしてこなかっただけよ」


和泉の言葉に傷付いた風もなく
あっけらかんとしている。


ミツの態度は和泉には
まったくの想像外だ。


「ふふ。
だって宗ちゃんの姉だもの」


得意げに笑ったミツは
和泉の腕を引っ張った。


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