君想歌
普通は下着の代わりである
襦袢姿なんかをさらすなんて
あり得ない。


それよりも借りた着物を
皺にしてしまうのは悪いから。


左手は和泉の腰に回し栄太郎は
自分の方へ引き寄せる。


すぐにうとうとし始めた和泉に
枕元の行灯を吹き消した。


俺が動いたのが
気に食わなかったのか。

背中に手を回して和泉から
くっついてくる。


あ、寒いのか。


襦袢一枚では冷えるこの季節の
夜は寒い。


だから傍らに置かれた羽織を
和泉に掛けた。


すぅすぅと寝息をたてる
和泉の額へ一つ口付けを落とす。


「おやすみ……」


そう呟くと吉田も目を閉じた。


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