生まれたての放課後。





まだ好きってことかな。

だとしたらなんで別れたのかな。



もんもん考えながらわたしも荷物の整理にとりかかる。



上手な別れ方ができなかったのかな。

……振られたのかな。振ったのかな。




なんて、今まで恋したことないわたしにはよくわからない世界だけど。



「はやく、忘れねーと…」



途中で宏くんが小さくぽつり、つぶやいた言葉を拾ってしまった。



どうして宏くんがあんな表情をしていたか分からない。

過去の出来事も読めない。





けど、好きだと思った。


“恋”なんて大それたものじゃないけど、宏くんのことが。





「じゃ、俺帰るな。また明日」


「うん、ばいばいっ」





背中を見つめながら。



同時に、宏くんにあんな顔をさせることができるのは、どんな子なんだろうと思った。







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