生まれたての放課後。





「……茶倉?」





帰ったんじゃ、と言いたげに、自分の隣のわたしの席をみた。


まだ荷物があるのに気づいて、もう一度こっちに視線をもどす。




電気がついてないうす暗い教室にたたずんでいる宏くんは、ひどく儚げだった。


やっぱり寒さに弱いのか、マフラーをちゃんと巻いていたけど、指先はつめたそうだった。




……聞いていいのか分かんない。




「……ああ、委員会?」


「そうだよ。宏くん、どうしたの」




首を傾げながらも声のトーンはしずんでいるから。

直球で聞いた言葉。



なにも考えないで、思わず、聞いてしまった。




窓の外、どうしたの。

どうしてそんな顔、するの。








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