モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「似合っていると
いったときに、
ずいぶん嬉しそうな
顔になりましたからね。」
知らず顔に出ていたことに
沙羅は少し恥ずかしく
なって俯いた。
「それに、姫乃が
用意するのは、
僕の知らないキミの
好みの物でしょう。」
姫乃の気づかいを
あっさり見破った朔夜は、
柔らかい笑顔のままで
沙羅に視線を留め続ける。
「あの…朔夜様…。あの…。」
その視線が、なんだか
妙にくすぐったくて、
沙羅の顔はまた
赤くなっていく。
「どうしました?」
「…あまんり…
見ないで…。」
さきほどより更に
落ち着かない気分に
なって俯いた沙羅が
そうつぶやくと、
朔夜は静かに
席を立った。