モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
視線が外れたことに
ほっとしてそっと
顔を上げれば、
すぐ隣に朔夜が腰かけた。
「あ…の…。」
朔夜の手が、沙羅の
背を抱えるように
肩に触れた。
沙羅を覗き込みながら、
逆の手をのばして
ソファーに置かれた
沙羅の手を握る。
ソファーに押し付け
られるような形で
朔夜に閉じ込められた
沙羅は、今度こそ
本気でうろたえた。
「さく…や…さま…。
あ、の…。」
「…姫乃と、なにか
ありましたか…?」
「!」
朔夜の問いに、
沙羅は顔を上げた。
覗き込む朔夜と、
至近距離で
視線が交わる。
「…どうして…。」
「こんな時間に、
僕を訪ねてきたのです。
ドレスがおまけだと
いうことぐらいは
わかりますし。
…キミを不安に
させるのは姫乃
ぐらいでしょう。」