はじめての恋
次の日。
「昨日、病院どうだった?」
学校に行くと、えりが聞いてきた。
「あー、えっとね検査受けたんだけどさ。初めてレントゲンとか撮ったの!」
笑って話した。
少し大袈裟だと思った。今になると。
「え、本当?レントゲンってかなり大事じゃない?大丈夫なの?」
えりの顔色が変わった。
えりは心配性なんだよね。
「大丈夫だよ。ただの頭痛。薬でも飲めば治るんじゃない?」
他人事のように話す私。
この時は本当にそう思っていた。
「うん、そうだね。それより、部活!どうする?今日体験入部あるみたいだよ」
部活かぁ。
中学の時はえりも私も吹奏楽部だった。
「吹部、迷ってるんだけどねぇ」
私が笑いながら言うと、えりは悩む素振りを見せる。
「私も。またやりたい気持ちもあるんだけど、好きなわけではないじゃん?ただ、絶対部活には入らないといけないから、とりあえずって軽い気持ちで始めただけだったから」
そうなんだよね。
吹部は好きでやってたわけではなかった。
どうせやるなら、運動部は嫌だったし、でも目立ちたいなんていう気持ちがあったから吹部を選んだ。
「高校は強制じゃないもんね」
強制なら、また吹部で決まりなんだけど。
「でも、せっかくの高校生活何にもしないで終わるのも嫌じゃない?」
えりの言葉がすごく心に響いた。