はじめての恋



放課後。
私とえりは吹部の部室の前にいた。


「どーする…?かなり入りにくいんだけど」


えりが戸惑ったような表情で言ってくる。

私も息を飲んだ。




ドアを閉めているが、聞こえてくる音色と、大きな声を出す顧問の声。
音色はすごく綺麗だけど、怒っているような顧問の声を聞いて躊躇している私たち。



「え、体験入部今日だよね?」


私はもう一度えりに確かめた。


「うん、今日だよ。絶対今日。昨日はっきり聞いたもん私」



えりは必死に答える。



これ、体験入部来てる子いるのかな?



「あれ?一年生?」



なんて考えてると後ろから誰かに話しかけられた。




「えっ…あ、はい!」



私とえりは声を揃えた。

目の前にはショートカットに美人なお姉さん。
先輩、かな?



「やっぱり?私は3年の塚原真琴。吹部なの」



三年生か…
吹部ってことは、もしかしたら私たちの部活の先輩になるかもしれないってことだよね。



「体験入部にきたの?」



そう聞かれて、私とえりは頷いた。


「はい。でも…」


と、言いにくそうにする私に先輩は笑う。



「ごめんね?ドアも締め切ってるし入りにくいよね?私今来たとこだし一緒に入ろっか」



そう言ってくれて、私とえりは本当に安心した。



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