捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「もう逃がしませんから」

「!」

「いいですね?」

「……で、でも、一度離したのは惣介さん、ですよね?」

「!……はぁ。うるさい口は塞ぐに限りますね」

「えっ?んぅっ……んっ、」


いつも以上に早く深くなる口付けに、私はついていくのが必死で、息をするのもままならない。

後ろにはベッド、頭の横には惣介さんの手があって、逃げ場もなく、されるがまま。

脳内に響く水音に、溺れていく感覚を覚える。

口内を暴れまわる惣介さんの舌はすごく気持ちよくて、私の身体を熱くしていく。


「……ん、は……っ、ん、」


惣介さんの唇がやっと離れた時、私の息は上がってしまっていて、惣介さんから顔を背けるようにして息を整える。

酸素を求めてだらしなく開いてしまう口が嫌で、手の甲を口に当てた。


「……何でそんなにかわいいんですか。その仕草、堪りませんよ……もう、止まらないじゃないですか」

「!かっ、かわいくなんて……!」

「本当に琴音さんは自分のことが見えてないんですね」

「そ、そんなこと……!あ、じゃ、じゃあ、惣介さんを止めてみます……!」

「!」


私は惣介さんの胸をぐぐぐと押す。

……でも想像以上に重くて、動く気配は見られない。

しばらく頑張ってみたものの力尽きた私は、手を自分の胸の上に置いた。

 
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