捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

……そんな甘すぎる時間が続いた後。

私は完全に惣介さんの行為に溺れきっていて、もう我慢できないところまで来ていた。


「……琴音さん」

「っ、」

「今だけ、琴音さんの言うことを聞いてあげます」

「……え?」

「……そんな……表情をして……、俺にして欲しいことがあるってことですよね……?」

「っ!!」


そんな表情って何……っ?

確かに……ある、けど……どう答えたら……?

私はその言葉に言葉じゃ答えられなくて、恥ずかしくて見れないでいた惣介さんの顔を見た。


「っ!」


その何かを我慢しているような甘くて切ない表情は、私の理性を一気に奪い去っていく。

こっちの台詞だ。

……そんな顔されたら……

もう、ギブです。

求めるものは……ひとつしかない。

……惣介さんのことが、欲しい。


「……似た者同士、だといいんですけど、ね。琴音さんはどうですか?」

「……っ、」

「…………俺は、もう」


「……結構ヤバイです。」と惣介さんが私の耳元で甘く甘く囁くから。

思わず私は惣介さんの首にしがみつくように腕を回して……

欲のままに、惣介さんを、求めた。

 
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